「同じ現場で働いているのに、なぜ自分たちばかりこんなにキツいのか」——サブコンで施工管理をしていると、この理不尽を毎日のように感じると思います。ゼネコンの職員は帰ったのに、自分はまだ現場にいる夜。ありますよね。
私は電気サブコンで施工管理を6年間経験しました。元請けの現場も下請けの現場も経験した上で言えるのは、サブコンのキツさの多くは、あなたの能力や根性の問題ではなく、「立場」の構造から生まれているということです。
この記事では、私が実際に経験した場面を挙げながら、サブコン特有のキツさの正体と、立場を変えたらどうなったかを書きます。
結論|サブコンのツラさは「個人」ではなく「立場」の問題
先に前提を整理します。サブコンは元請けとして施工することもありますが、多くの現場では下請けとして、ゼネコンなど元請けの下に入ります。そして下請けの立場では、自分の段取りや頑張りではどうにもならない構造的なキツさが発生します。
「自分の要領が悪いからだ」と思っている方にこそ読んでほしいのですが、これから挙げる4つの場面は、誰が担当しても同じことが起きます。個人の問題ではなく、立場の問題だからです。
サブコン特有のキツさ|私が経験した4つの場面
① 元請けの遅れは、下請けの深夜残業で吸収される
忘れられない一日があります。ある現場で、予定ではこうなっていました。
- 建築工事:軽量鉄骨(LGS)建込み → 2日前に完了予定
- 電気工事:ボックス建込み → 2日前から本日まで
- 建築工事:ボード貼り → 翌日から開始
ところが、建築側の資材手配ミスでLGS建込みが遅延。当日の朝の時点で、LGSは50%程度しか建っていませんでした。しかし工期は迫っており、ボード貼り業者の都合で翌日の日程は動かせない。つまり、電気のボックス建込みは何がなんでも今日中に終わらせるしかない状況になりました。
結果、職人さんと共に夜まで作業し、ボックス建込みが終わったのは24時過ぎ。施工状況の現場写真も撮る必要がありますし、何より職人さんが作業しているのに、現場代理人の私が先に帰るわけにはいきません。終電はとうに無く、その日は家に帰れませんでした。
ここで重要なのは、遅れの原因は建築側(元請け側)の資材手配ミスだったことです。それでも、しわ寄せを深夜残業で吸収するのは下請けの電気工事でした。これが下請けの構造です。
② 同じ下請けでも、設備系への扱いは違う
この日、もう一つ突き刺さったことがあります。遅延していたLGS建込みが終わったのは20時頃。ゼネコンの職員は、そこで普通に帰りました。残された私たちに掛けられた言葉は——
「あとは頑張って」
自分たちの工程が遅れたせいでこうなっているのに、他人事のような一言でした。私たちはそこから24時過ぎまで作業です。
6年間で感じたのは、ゼネコンは軽量鉄骨、ボード、塗装といった建築系の業者には協力的な一方、電気・機械・衛生といった設備系のサブコンには、同じ下請けという立場なのに非協力的な傾向がある、ということです。同じ現場で同じように働いているのに、扱いが同じではない。この「見えない序列」も、サブコンのキツさの正体の一つだと思います。
③ 一緒に働く人と「働く前提」が違う
現場の職人さんは常用や一人親方が多く、働けば働くほど収入が増える働き方です。だから土曜も現場に出るのが通常で、それ自体は合理的な選択です。
象徴的だったのは、ある金曜日のこと。あと1時間ほど残業すれば終わる作業が残っていたのですが、職人さんの答えは「休むと稼げないから、明日(土曜)やるわ」。実際、土曜は1〜2時間の作業で午前中に終わりました。私としては、金曜に少し残って終わらせて土曜を休みにしたかった——でも、働く前提が違うので、同じ結論にはならないのです。
職人さんが悪いわけではありません。ただ、「働くほど収入になる人たち」と「土曜に出ても代休(建前)しかない管理側」が同じ現場で動いている以上、休みの取り方の主導権は、管理側には無いに等しいのです。
ちなみに私は3年目から一人現場でした。管理側が自分一人しかいない現場で、どう職人さんと連携し、どう時間を作っていたのか——実際の工夫はこちらにまとめています。
一人現場の乗り切り方|3年目で現場代理人になった私が身につけた5つの習慣
④ そして、代休は消えていく
土曜に出勤したら平日に代休を取る——それが会社の建前です。しかし仕事量が多くて取れるはずもなく、期限が切れた代休は無かったことになります。
私の実例を挙げます。残業135時間だった月は、土日フルで出勤していたので8日分の代休が発生し、その8日すべてが消えました。通常の月も、一人現場だったため土曜は毎週出勤で、月4日分の代休がコンスタントに消えていく状態でした。
この「勤務表に表れない労働」については、1年分の記録を別記事で公開しています。
施工管理業務 サービス残業のリアル | 勤務表と実態の差を記録で公開
でも、電気の仕事は好きだった|だから「切り分け」が必要
ここで、あなたに一度考えてほしい問いがあります。キツいのは「サブコンという立場」なのか、それとも「この仕事そのもの」なのか——という切り分けです。
私の場合、答えははっきりしていました。電気の仕事は好きだったからです。
電気は目に見えません。その見えないものを、自分の描いたとおりに工事してもらい、照明が点き、スイッチでON/OFFでき、コンセントで充電でき、空調が動く。動力なら検相器が正しい回転方向に反応する。描いたとおりに動いた瞬間は、本当に嬉しいものです。
初めての一人現場の受電の日、廊下の照明が一斉にパッと点灯した瞬間の爽快感は、今でも忘れません。それまでの苦労が、心ごと晴れやかになった瞬間でした。
だから私の結論はこうなりました。電気の仕事は続けたい。キツいのはサブコンという立場のほうだ。なら、立場を変えて電気の仕事ができないか——エージェントに相談したのは、まさにこの切り分けができたからです。
あなたの場合はどうでしょうか。
- 立場がキツい(仕事自体は嫌いではない)→ 発注者側・元請け側など、立場を変える転職で解決しうる。積んだ経験はそのまま武器になります
- 仕事そのものが合わない → 異業種も含めて考える段階です
- 判断がつかない → まず自分の労働時間を記録して、状況を客観視するところから。私はそこから始めました
サブコンを出たら、悩みの大半が「存在しなくなった」
私はその後、デベロッパー(発注者側)へ転職しました。移って気づいたのは、悩みが「解決した」のではなく、悩みそのものが存在しない世界だったことです。
- 土日祝日が、当たり前のように休み
- 8時に現場朝礼ではなく、9時にオフィスまたは在宅で始業
- 定時に仕事を終えられる
- 元請けの工程に対し、金曜の夜に怯えることがない
小さなことですが、服装の変化も印象に残っています。現場時代は作業着のズボンにスポーツウェアを羽織り、安全靴——身だしなみに気を配る余裕すらなく、途中からはそれが普通だと麻痺していました。転職後、スーツに革靴で出勤するようになって、「身だしなみを整えて社会に出る」という当たり前の感覚を取り戻した実感がありました。
立場を変えた転職を実際にどう進めたかは、こちらに全記録があります。
施工管理からデベロッパーへ転職した話|準備1年・活動2ヶ月の全記録
サブコンを辞めたいと思ったら|今日からの3ステップ
ステップ1:キツさの原因を「4つの場面」に当てはめる
この記事の4つの場面(元請けのしわ寄せ・扱いの差・働く前提の違い・消える代休)のうち、自分のキツさはどれに当てはまるか仕分けてみてください。当てはまるものが多いほど、それは立場の問題です。
ステップ2:「立場を変える」選択肢を知る
発注者側(デベロッパー)、元請け側、コンサル——施工管理の経験が評価される「サブコンの外」は意外とあります。仕事を捨てるのではなく、立場だけ変える。私が選んだのはこの道でした。
ステップ3:業界特化のエージェントに市場価値を聞く
私は1社目で、サブコンの実情が通じないと感じました。3社目でようやく、下請けの構造も消える代休も説明なしで理解してくれる担当者に出会えています。「サブコンから立場を変えたい」という相談が、そのまま通じました。
登録したからといって、転職しなければいけないわけではありません。「自分の経験が、サブコンの外でどう見られるか」を聞くだけでも、判断材料が1つ増えます。
まとめ|あなたが弱いのではなく、消耗する構造の中にいるだけ
サブコンのキツさの正体は、元請けのしわ寄せを吸収する立場、設備系への扱いの差、働く前提の違う現場、消えていく代休——個人の頑張りでは変えられない構造でした。
サブコンで消耗しているのは、あなたが弱いからではありません。消耗する構造の中に立っているからです。そして、その構造の外に出ても、あなたの経験と「この仕事が好きだ」という気持ちは、そのまま持っていけます。
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