竣工図と引き渡し書類|後回しにすると地獄を見るのは施工写真

分厚いファイルを抱える人物のピクトグラム|竣工図と引き渡し書類 施工管理のリアル
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竣工間際、私はデジカメの中に溜まった数百枚の写真とにらめっこしていました。

どれが必要な写真で、どれがいらないのか。撮った本人なのに、思い出せない。この配管はどこの部屋だったか。 選別するだけで、何日もかかりました。

引き渡し書類の中で、一番キツいのは施工写真です。断言できます。

引き渡し書類には、後回しにすると本当にキツくなるものが2つあります。施工写真の整理と、保証の開始日です。特に保証は、知らないまま引き渡すと施主と直接もめることになります。

私は電気サブコンの施工管理を6年経験し、3年目で一人現場の現場代理人を任されました。この記事では、竣工図と引き渡し書類の作り方を実体験で書きます。施工写真と保証の2つは、特に念入りに書きます。


結論|竣工書類は「日々コツコツ」がすべて

先に結論を書きます。

竣工書類の準備で大事なのは、日々コツコツまとめておくこと。これに尽きます。

竣工図も、施工写真も、最後に一気にやろうとすると必ず破綻します。量が多いうえに、時間が経つと記憶が薄れるからです。撮った写真がどこの何なのか、竣工間際には思い出せません。

逆に、工事の区切りごとに整理しておけば、竣工の作業は「集める」だけで済みます。この差が、竣工前の忙しさを決めます。

  • 施工写真は、撮ったその週に工種別フォルダへ整理する
  • 隠蔽部・埋設部の写真は撮り直しがきかない。撮り忘れ厳禁
  • 竣工図は施工図の出来で決まる。工事中の施工図を丁寧に

そして書類の作り方とは別に、この記事で一番伝えたい注意点があります。

機器の保証は、放っておくと「納品日」から始まります。 施主が期待する「引き渡し日」からではありません。この差でもめないために、早めにメーカーへ交渉しておく必要があります。詳しくは後半で書きます。


竣工図は、施工図の出来で決まる

まず竣工図から。施工図との違いを整理します。

項目施工図竣工図
目的工事を行うため完成した建物を記録するため
時期工事前〜工事中工事完了後
内容施工予定の内容実際に施工した内容
使う人現場監督・職人建物管理者・施主・保守会社

ひとことで言えば、施工図は「これから工事するための図面」、竣工図は「実際に完成した建物を記録した図面」です。

施工図ができていれば、竣工図は早い

竣工図の作成そのものは、実はそれほど時間がかかりません。施工図がきちんとできていれば、の話ですが。

やることは、施工図から情報を引き算していく作業が中心です。

  • 変更点を、最終的に施工した形に修正する(例:VE・CD案で、ケーブルラックが途中から配管に変わった箇所など)
  • 欄外の詳細な納まり図を削除する(盤まわりのケーブルラックや配線の納まり図など、工事には必要でも記録には不要)
  • コンセントやスイッチの高さ表記を削除する(FL+500といった高さは、記録では不要。平面上の位置が分かればいい)

竣工図は、施工図から余計な情報をそぎ落とした図面だと私は考えています。

施工図の出来が悪いと、竣工図も遅れる

逆を言えば、これが問題になります。

施工図が中途半端だったり、見づらかったりすると、竣工図への変換ができません。 そもそもの図面が整っていないので、どこを直してどこを削るのか判断できないのです。

竣工図で苦労するかどうかは、実は工事中の施工図をどれだけ丁寧に作ったかで、すでに決まっています。

施工図を含めた図面全体の話は、こちらにも書きました。

総合図の作り方|プロットから合意までの進め方を実務で解説


試験表は「工事の最終盤に集中する」

引き渡し書類には、各種の試験表・測定表が必要です。電気だと、こういうものがあります。

照度測定表、絶縁抵抗測定表、接地抵抗測定表、相回転測定表、総合動作試験成績表、非常用発電機試験成績表。加えて弱電系の試験成績表(電話・LAN・放送・自動火災報知設備・インターホン・車路管制・テレビなど)。

これらに共通するのは、設備が完成してからでないと測定できないことです。つまり、試験は工事の最終盤に集中します。ただでさえ忙しい竣工前に、まとめて降ってくるわけです。

だからこそ、段取りを前倒しできるものは前倒しする。ポイントは2つです。

協力会社への依頼は、早めに

試験表の作成には、分担があります。

  • 専門の協力会社がいる工種(弱電系、非常用発電機など)→ 作成を依頼する
  • それ以外 → 自分で作成する

一番大事なのは、協力会社への依頼を忘れないことです。自分では作れない書類なので、依頼が漏れると竣工間際に慌てます。試験そのものは最終盤でも、声をかけるのは早いほどいいです。

照度測定は、夜の時間を確保しておく

自分でやる試験の中で、意外と手間なのが照度測定です。

明るさを測るので、周りが暗い夜にしか測定できません。 さらに現場の面積が広いと、測定点が増えて2〜4時間かかることもあります。昼間の作業とは別枠で、夜の時間をあらかじめ確保しておく必要があります。「完成してから測ればいい」と後回しにすると、夜の予定が取れずに詰みます。


一番キツいのは、施工写真の整理

ここが本題です。引き渡し書類で、私が最も苦労したのが施工写真でした。

なぜ大変なのか

理由はシンプルで、撮った写真を放置してしまうからです。

デジカメやスマホで撮って、そのまま。竣工間際になって、数百枚の中から使える写真を選別する——これが本当にキツい。枚数は現場によりますが、100枚から500枚以上必要な現場もあります。

しかも、時間が経つと写真の中身をうろ覚えになります。「この配管、どこの部屋だったか」が思い出せない。楽しくない作業を、思い出せない状態でやる。地獄でした。

必須なのは「完成すると見えなくなる部分」

施工写真で本当に重要なのは、できあがったときに見えなくなる部分です。

  • LGS(軽量鉄骨下地)内のボックス建込みと配管状況
  • 天井内の配線
  • 防火区画の貫通処理
  • 地中埋設配管
  • 梁貫通スリーブ

施主や工事監理者が求めているのは、まさにここです。壁を壊さなければ確認できない部分を、写真で記録しておく。逆に、完成後も見える部分は、極端に言えば数枚あれば足ります。

そして、これらは撮り直しがききません。 壁を閉じてしまえば、もう撮れない。撮り忘れが、最も怖いのです。

写真には、いろいろなものが一緒に写る

隠蔽部や埋設部の写真は、ただ撮るだけではありません。

LGS内のボックス建込み、地中埋設配管、梁スリーブなどは、測量用のスタッフ(標尺。目盛りのついた棒)を一緒に写して、FLからの高さやスリーブ同士の距離が分かるようにします。

さらに、施工日・施工内容・施工場所を記載した黒板もセットで写します。写真1枚を撮るために、意外と多くの準備が要るのです。

なお最近は、タブレットで黒板の情報を入力し、そのまま撮影できる仕組みもあります。黒板を手書きする手間が省けて、便利になってきています。

どうすればよかったか

答えは1つです。撮ったら、その週のうちに整理する。

事務所に戻ったら、工種別のフォルダを作って写真を振り分けておく。そして、工事の段階が終わったら、その都度、台帳に貼り付けて完成させておくのです。

例えば、地中梁工事が終わったら、梁貫通スリーブの写真を台帳に貼り付けてしまう。その工事はもう発生しないので、写真は増えません。 完成させてしまえば、竣工間際に触る必要がなくなります。

これを工種ごとに積み重ねておけば、竣工写真は自然と出来上がっています。

一人現場での時間の使い方は、こちらにも書きました。

一人現場の乗り切り方|3年目で現場代理人になった私が身につけた5つの習慣


引き渡し書類は、事務作業が多い

竣工図と試験表と写真が揃ったら、冊子にまとめます。ここからは事務作業です。

私の現場では、キングファイルなどの冊子にして、3部ほど用意することが多かったです。データを作って終わりではなく、印刷し、インデックスを作り、ファイリングし、背表紙を作る。地味な作業が積み重なります。

インデックスの構成(一例)

冊子は、インデックスで章立てして整理します。私の現場での構成を、参考までに置いておきます。現場によって変わるので、あくまで一例です。

No.項目内容
0目次
1機器完成図受変電設備、分電盤、照明器具等
2試験・測定記録絶縁抵抗、接地抵抗、相回転等
3各種検査記録社内検査、施主検査、官庁検査
4官庁関係書類消防検査、電気関係届出等
5工事写真隠蔽部写真、施工写真、材料検査
6機器試運転・調整記録発電機、UPS、受変電設備等
7取扱説明書機器の取扱説明書
8保証書メーカー保証書、保証関係書類
9予備品・工具一覧引き渡し予備品、専用工具
10鍵・カード等一覧盤鍵、機械室鍵等

協力会社から受け取った資料も、ここに合わせてファイリングします。

事務作業の注意点

細かいですが、つまずきやすい点を挙げます。

  • 背表紙は、現場共通の様式があるかもしれないので、元請けに確認する
  • キングファイルなどの事務用品も、事前に用意しておく
  • トータルの作業時間は、私の場合1週間以上かかった印象。写真の整理状況と、協力会社からの資料の受領状況に大きく左右されます

やはりここでも、写真を日々まとめてあったかどうかが効いてきます。


保証の開始日は「納品日」と「引き渡し日」でズレる

施工写真と並んで、もう1つ必ず押さえてほしいのがこれです。機器の保証開始日。知らないと、引き渡し後に施主とトラブルになります。

メーカーの保証は通常、機器を納品した日から1年間です。ところが施主は、引き渡した日から1年間だと思っています。そして、そう求めてきます。

具体例で見ると、ズレの大きさが分かります。

項目日付
キュービクルの納品日12月20日(一般的に、ここから1年保証)
建物の引き渡し日3月31日(施主は、ここから1年保証だと思っている)

この例だと、3ヶ月以上のズレがあります。納品から引き渡しまで時間が空くほど、差は広がります。

どうするか

メーカーに確認し、「引き渡し日から1年間」に変更できるか交渉します。

私の経験では、交渉すれば引き渡し日起点で対応してもらえることがほとんどでした。ただし、これは竣工間際ではなく、早めに動くべき話です。引き渡し後に「保証はいつからか」でもめると、施主との関係にひびが入ります。


まとめ

竣工図と引き渡し書類は、日々コツコツまとめておけるかどうかで、竣工前の忙しさが決まります。

竣工図は施工図の出来次第。試験表は協力会社への早めの依頼。そして施工写真は、撮ったその週のうちに工種別に整理し、工事の区切りで台帳に貼り付けてしまう。完成すると見えなくなる部分は、撮り直しがききません。

そして保証の開始日。「引き渡し日から1年」への変更は、早めにメーカーへ交渉しておく。 これを忘れると、引き渡し後に施主ともめます。

私は施工写真を後回しにして、竣工間際に地獄を見ました。同じ思いをする人が1人でも減れば、この記事を書いた意味があります。

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