施工管理からデベロッパーへ転職した話|準備1年・活動2ヶ月の全記録

前を向いて歩き出す人のイラスト 転職体験記
記事内に広告が含まれています。

「発注者側は働きやすそうだけど、施工管理から本当に行けるのか」——求人サイトでデベロッパーの募集を眺めては、そっと閉じる。そんなことを繰り返していませんか。かつての私がそうでした。

私は新卒から電気のサブコンで施工管理を6年間経験し、大手デベロッパーへ転職しました。この記事では、なぜデベロッパーを選んだのか、転職活動の実際のスケジュールと結果(応募数・内定数まで)、そして現場経験の何が評価されたのかを、すべて実体験で書きます。

結論|施工管理からデベロッパー転職は可能。現場経験はむしろ武器になる

先に結論です。施工管理からデベロッパーへの転職は可能です。それどころか、現場を知っていることは発注者側で高く評価されます。

発注者側には、施工の実態がわかる人材が常に必要です。工事の発注、施工会社との調整、品質や工程のチェック——どれも「現場で何が起きるか」を肌で知っている人間のほうが強い。私の場合、応募した約10社の書類選考はすべて通過しました。特に、電気施工管理の経験と1級電気工事施工管理技士を持つ20〜30代は、需要があるというのが転職活動を通じた実感です。

「施工管理を辞める=積み上げた経験を捨てる」ではありません。経験を高く買ってくれる立場に移る、というのが実態に近いと思います。

なぜデベロッパーを選んだか|「他人の工程に左右されない」働き方

施工管理のしんどさの正体は「自分で決められないこと」だった

6年間の激務を振り返って気づいたのは、しんどさの正体は労働時間だけではなく、自分ではコントロールできない要因に常に振り回される立場にあることでした。サブコンは元請けとして施工することもありますが、多くの現場では下請けに入ります。下請けなら元請けの工程に、元請けでも工期や他業者の動きに——立場が変わっても、振り回される構造は変わりませんでした。
この構造については、当時の残業記録と合わせて別記事に書いています。

施工管理業務 サービス残業のリアル | 勤務表と実態の差を記録で公開

自己分析で書き出した「これだけは嫌なこと」

転職活動の最初にやったのは、理想の条件ではなく「これだけは嫌なこと」の書き出しでした。私のリストは次のとおりです。

  • 休日がないこと
  • 残業が多いこと(月20時間以上はNG、と具体的な数字で決めました)
  • 組下(他社の下に付く立場)などで、主体となって仕事ができないこと
  • 電気の仕事から離れること
  • 転勤があること

このリストを裏返すと、「自分主体で仕事ができて、休みがカレンダー通りで、電気の知識を活かせる発注者側」——つまりデベロッパーが浮かび上がりました。発注者は工程を「受ける」側ではなく「決める」側です。嫌なことリストの大半が、立場を変えるだけで消える構図でした。

転職して実際に変わったこと

定時で帰れる。有給が普通に取れる

転職して最初に「本当に変わった」と実感したのは、劇的な出来事ではなく日常でした。定時で普通に帰れること。有給休暇が普通に消化できること。施工管理時代は「休む」ではなく「現場に行かない日」だった人間にとって、この「普通」は衝撃でした。30日連続勤務の月があった生活からの変化です。

休みはカレンダー通り、在宅勤務もできる

土日祝日はカレンダー通り休み。在宅勤務という、現場常駐時代には存在すらしなかった選択肢もあります。働き方の自由度は、同じ建設業界とは思えないほど変わりました。

正直に書くと、デベロッパーにも大変さはある

良いことばかり書くとフェアではないので、実感している大変さも書きます。デベロッパーは社内基準がガチガチに固められています。設計標準仕様書など決められたルールが整備されていて、「なんとなくこれで良いと思う」という現場感覚の意見は通りません。根拠と基準に沿って仕事を進める文化なので、現場の裁量で動いてきた人ほど、最初は窮屈に感じるはずです。私は「振り回されない代わりに、型の中で正確に仕事をする世界」だと理解しています。

なお、私はその後、働き方とは別の理由でデベロッパーを離れ、2回目の転職をしています。デベロッパーで働いて初めて見えたことも含めて、こちらに書きました。
デベロッパーを3年で辞めた理由|設備系コンサルへ2回目の転職記録

転職活動の全スケジュール|準備1年、動いたら2ヶ月

転職サイトへの登録から内定まで、私は1年2ヶ月かけました。準備に1年、実際に動いてから2ヶ月です。

最初の10ヶ月|エージェント選定と自己分析

意外に思われるかもしれませんが、私が最も時間をかけたのは転職エージェントの選定です。サブコンの実情を理解しているエージェントでなければ、こちらの経験の価値を企業に翻訳できません。週1回のペースで複数のエージェントと面談を重ね、「この人はサブコンの働き方をわかっている」と思える担当者を厳選しました。

その厳選のときに何を確認したのか、面談で実際に聞かれたことは何だったのか——面談の中身はこちらにまとめています。
転職エージェント面談で聞かれたこと|施工管理が「業界に詳しい担当者」を選ぶ方法

並行して自己分析を進めました。中身は、保有資格の整理、自分の長所・短所の整理、理想の働き方の整理(前述の「嫌なことリスト」もここで作成)。働きながらなので、焦らずゆっくり進めました。

その自己分析を具体的にどうやったのか、不満を4つに仕分ける方法はこちらに書きました。
転職の自己分析のやり方|施工管理の不満を4つに仕分けて決断するまで

次の2ヶ月|書類作成と企業研究

応募書類の作成と、企業の研究・比較に2ヶ月。ここは正直、苦労しませんでした。事前の自己分析が終わっていれば、書類は「整理済みの内容を清書するだけ」だからです。逆に言うと、自己分析を飛ばしていきなり書類を書き始めると、ここで動きが固まります。

その職務経歴書を実際どう書いたのか——A3見開き1枚の構成、物件名を伏せた書き方、エージェントに3回添削してもらった過程は、こちらにまとめました。
施工管理の職務経歴書|10社の書類選考に通った書き方

最後の2ヶ月|エントリー・面接・内定

本格的に動き出したら、短期決戦でした。私の場合、参考ですが、結果は次のとおりです。

  • 応募:約10社
  • 書類選考:全て通過
  • 内定:3社/落選:2社/途中辞退:5社

準備に時間をかけた分、動き出してからは迷いがありませんでした。振り返って言えるのは、この転職は「エージェントの選定」と「事前準備」で決まっていたということです。エージェントと相談しながら進めるのを強くおすすめします。

なお、退職を切り出したのは最初の内定が出た直後で、その時点ではまだ8社の選考が残っていました。切り出した後も面接を受け続け、最終的に入社したのは2社目に内定をもらった会社です。伝えた場面と引き止めのやり取りは、こちらに記録しました。

施工管理 退職の切り出し方|竣工直後に伝えた実録

激務の中で、いつ活動時間を作ったか

「準備が大事なのはわかったが、その時間がない」という方へ。私の活動時間は、通勤電車の中、就寝前、数少ない休日、昼休みでした。やり方はシンプルで、スマホのメモ帳に、思ったことをとにかく吐き出す。机に向かう時間は不要です。細切れの吐き出しが溜まっていくと、それがそのまま自己分析の素材になります。

ちなみに、私が転職活動の準備を始めたのは5年目、転職したのは6年目です。「何年目に動くべきか」という視点での振り返りは、こちらの記事に書いています。
施工管理の転職は何年目がベスト?6年目で転職した私の結論

面接では「現場の苦労」が武器になった

面接で印象に残っている質問は2つあります。「現場で一番苦労したことは何か」「1人現場を経験して得たものは何か」です。そして私は、この2つに同じ経験で答えました。一番苦労した現場こそが、一番多くを得た現場だったからです。

その経験とは、すべてを自分で決めて実行したことです。

1人現場では、判断を仰ぐ相手が現場にいません。受電日をいつにするか、重量物の搬入日をどう組むかといった工程の決定も、材料費や人件費を予算内でどう振り分けて最終的に利益を出すかという予算管理も、すべて自分の判断でした。施工方法も、選択肢が複数ある中で自分なりのベース案を作って持っていき、職長さんと相談して決める——「教わる」のではなく「決めて、相談して、実行する」の繰り返しです。

面接では、この経験をそのまま発注者側の仕事に接続して話しました。工程・予算・品質を俯瞰して判断する立場は、発注者の業務そのものだからです。一人現場は、いわばそれを施工側の立場で先に経験したものだと伝えました。

面接官の反応は、手応えがあるものでした。そして答え合わせができたのは入社後です。人事の担当者から、「1人で決定し、1人で現場代理人として建物を完成させた実績は、20代でできることではない」と評価されていたことを聞きました。

その一人現場を、当時どう回していたのか。知識も経験も足りない中で身につけた工夫は、こちらに書きました。
一人現場の乗り切り方|3年目で現場代理人になった私が身につけた5つの習慣

つまり、面接で評価されたのは資格や経歴の字面ではなく、現場の苦労とそこから得たものでした。施工管理として消耗してきた日々そのものが、発注者側では「施工がわかる」という価値に変換されます。あなたが今つらいと感じている経験は、面接の場では武器になります。

施工管理からデベロッパーを目指す3ステップ

ステップ1:「これだけは嫌なこと」を書き出す

理想より先に、嫌なことから。私はここから始めて、行き先の輪郭が見えました。スマホのメモで、通勤中にでも。

ステップ2:現場経験を「発注者目線」で棚卸しする

工程調整、品質管理、協力会社対応、一人現場での判断——それぞれを「発注者側で何に使えるか」に翻訳してみてください。書類と面接の核になります。

ステップ3:エージェントに登録し、相性の良い担当者を探す

1つ、見落としがちな実務ポイントを。デベロッパーは業界分類上「建設業界」ではなく「不動産業界」です。求人サイトやエージェントの検索で「建設」のカテゴリだけを見ていると、デベロッパーの求人にはたどり着けません。「不動産」のカテゴリ、または「不動産業界特化」のサービスで探してください。

私の1年2ヶ月の転職活動も、最初の一歩はエージェントへの登録でした。不動産業界(デベロッパー)を目指すなら、業界特化型のサービスから話を聞くのが近道です。サブコンの実情をわかってくれる担当者に出会えるかが鍵なので、1人目で決めず、複数と話して比べてください。

登録したからといって、転職しなければいけないわけではありません。まずは「自分の経験が発注者側でどう見られるか」を聞くだけでも、判断材料が1つ増えます。

まとめ|施工管理の出口は、業界の外だけではなく「反対側」にもある

施工管理がつらいからといって、業界を丸ごと捨てる必要はありません。発注者側という「反対側」に移るだけで、経験は武器のまま、働き方だけが変わります。私の場合、それは準備1年・実働2ヶ月の道のりでした。

「そもそも辞めたい気持ちが甘えなのか」と迷っている段階の方は、こちらから読んでみてください。
施工管理を辞めたいのは甘えじゃない!6年続けて転職した私の結論

コメント

タイトルとURLをコピーしました