職務経歴書を前にして、手が止まっていませんか。
物件名は書いていいのか。何現場まで載せるのか。一人現場をやったことを、どう表現すれば伝わるのか。施工管理の仕事は、一般的な職務経歴書のテンプレートに素直に収まりません。
私が実際に書いたのは、こういう形式です。
〇〇県〇〇市 工場新築工事
S造 地上〇〇階建て / 延床面積 〇〇㎡
工期:〇年〇月〜〇年〇月(〇年〇ヶ月)
役職:現場代理人 / 受注額:〇億円
私は電気サブコンの施工管理として6年働き、デベロッパーへ転職しました。応募したのは10社。書類で落ちるのが当たり前と言われる中で、10社すべての書類選考を通過しています。
この記事では、その職務経歴書の構成を項目ごとに公開します。あわせて、通ったのに失敗していた部分についても正直に書きます。
結論|書類は通った。でも志望動機は間違えていた
先に結論を書きます。
書類選考10社全通過という結果だけを見れば、成功した職務経歴書です。現場を数字で書き、担当物件をすべて並べ、資格を独立した項目に置く。 この構成は間違っていなかったと思っています。
ただ、志望動機だけは失敗しました。受けがよさそうな内容を書いてしまい、書いている最中から違和感がありました。 そしてその違和感は、入社後に現実として返ってきます。
この記事では、うまくいった部分と、そうでなかった部分の両方を書きます。
- 物件名は伏せ、規模・金額・役職を数字で書く
- 担当物件はすべて載せる(私は10現場)
- 志望動機に、自分にない適性を書かない
実際に提出した職務経歴書の構成
私が提出したのは、A3見開き1枚です。転職エージェントから提供されたテンプレートを使いました。
構成は5項目、編年式で書きました。
職務経歴書の書き方には、編年式(入社年・配属先・担当現場を時系列で並べる形)と、キャリア式(職務内容ごとにまとめる形)があります。施工管理なら編年式で問題ありません。 現場を順に並べるだけで、経験の積み上がりと役職の変化が自然に見えるからです。
| # | 項目 | 掲載面 |
|---|---|---|
| ① | 経歴要約・得意分野 | 左 |
| ② | 職務経歴 | 左 |
| ③ | 担当物件 | 左〜右 |
| ④ | 資格・表彰等 | 右 |
| ⑤ | 志望動機 | 右 |
③の担当物件が最も分量を取り、左ページの下半分から右ページの上部までを占めていました。この記事で一番伝えたいのは、この③の書き方です。
なお、自己PRは職務経歴書ではなく履歴書側に書いています。
通った書き方の3つのポイント
① 物件名は伏せ、数字で書く
守秘義務を意識して、物件名と発注者名は一切書きませんでした。代わりに、冒頭で示した通り、規模がわかる情報を数字で並べています。
物件名がなくても、用途・構造・階数・延床・工期・金額があれば、規模と難易度は伝わります。 むしろ物件名だけ書いて数字がないほうが、読み手には何も伝わりません。
特に用途は落とさないでください。工場、マンション、商業施設、病院では、求められる設備の知識も難易度もまったく違います。読み手が最初に見る情報です。
エージェントからも「数字を使うべきところは数字で」「実際の物件名は伏せる」と指摘を受けました。
② 判断基準は「1枚に収まるか」
私は6年間で担当した10現場すべてを書きました。ただし、これは「全部書くべきだから」ではありません。1枚に収まったから、結果的に全部載っただけです。
書類は所定の書式で1枚に収める。これを最優先にしてください。A3でもA4でも構いません。2枚になると情報量が多くなり、コンパクトさが失われます。 読み手は何十枚も書類を見ているので、1枚で完結しているかどうかは効きます。
現場数が多くて収まらない場合は、規模の大きいもの、役職が上のもの、応募先の業態に近いものを優先して絞ってください。
なお私は、小さな改修工事も省きませんでした。新築だけでなく改修も経験しているという事実が、対応範囲の広さとして読まれるからです。
③ 一人現場は、役職欄に書くだけでいい
3年目で一人現場の現場代理人を任された経験は、私にとって一番大きな実績です。ただ、担当物件一覧には「一人現場」とは書きませんでした。
書いたのは、役職欄の「現場代理人」という4文字だけです。
年次と役職を並べれば、読み手はそこに気づきます。3年目で現場代理人という記載を見て、面接では必ずこの話を聞かれました。 説明を書き込むより、事実を置いて相手に発見させたほうが、会話のきっかけになります。
その一人現場を実際どう回していたかは、こちらに書きました。
一人現場の乗り切り方|3年目で現場代理人になった私が身につけた5つの習慣
3週間・3回の添削で仕上げた
作成にかかったのは3週間です。1週目に初稿、2週目に修正、3週目に最終仕上げ。各週の終わりにエージェントのチェックを受けました。
この3回の添削が、書類の質を決めました。 受けた指摘は3つです。
- 数字を使うべきところを、文章で書いてしまっている
- 実際の物件名を書いている(守秘義務の観点)
- プロジェクトの上流側に立って、実現したいことを書く
3つ目が本質的でした。施工管理の職務経歴書は、放っておくと「何をやったか」の羅列になります。発注者側を目指すなら、「これから何をしたいか」を上流の視点で書く必要がある、という話です。
自分ひとりでは、この3つはどれも気づけませんでした。エージェントの選び方と面談の中身は、こちらにまとめています。
転職エージェント面談で聞かれたこと|施工管理が「業界に詳しい担当者」を選ぶ方法
2回目の転職では、更新だけで済んだ
31歳で設備系コンサルタントへ転職したときは、ゼロから作り直していません。更新したのは担当物件(デベロッパー時代の案件を追記)と志望動機の2箇所だけで、構成はそのまま使えました。
一度きちんと作っておけば、次の転職では資産になります。 3週間かけた価値は、ここにもありました。
- 提出形式:A3見開き1枚
- 作成期間:3週間(添削3回)
- 掲載した担当物件:10現場すべて
- 応募10社の書類選考:全通過
経歴要約は、2行で足りる
冒頭の「経歴要約・得意分野」に書いたのは、次の2行だけです。
・新築及び改修物件における電気設備の現場代理人を担当。
・工程・安全・予算・現場管理業務を主に実施。
短いですが、これで十分でした。詳細は担当物件の欄にあるので、冒頭は「何をする人か」が一目でわかればいいという考え方です。
資格は独立した④の項目に置きました。1級電気工事施工管理技士は電気の施工管理では必須条件に近いので、文章に埋もれさせず、独立した欄で見せたほうが確実に伝わります。
1級電気工事施工管理技士は転職で有利?実際は「有利」より重い意味があった
正直に書く|志望動機で、自分に嘘をついた
ここからは失敗の話です。
私が書いた志望動機は、要約すると次のような内容でした。
「建物を建てて引き渡して終わりではなく、その後の運用や管理に関わりたい。オーナーやテナントの相談・提案を通じて、建物の中身を築き上げていきたい」
ここまでは本心です。問題は、この後に続けた一文でした。
「電気設備だけでなく、建築・空調・衛生といった工事にも携わり、幅広く知識と経験を積んで万能な人材になりたい」
当時の私は、オールマイティに何でも知っているほうがアピールになると考えていました。見え方を気にしていたのだと思います。
でも、書いている最中から違和感がありました。 私は高校から社会人まで一貫して電気をやってきた人間で、空調も衛生も電気ほどの深さはありません。
そして入社後、違和感は現実になりました。周囲は私が空調も衛生も分かっている前提で質問してきます。電気ほど詳しくないので、答えに詰まる場面が何度もありました。
書いた通りの期待をされる。 これが、志望動機で見栄を張った代償でした。
いま書き直すなら、電気に特化したいとはっきり書きます。専門を狭く深く打ち出したほうが、入社後の自分も楽だったはずです。
いま書こうとしている志望動機に、「本当はそこまで得意ではないこと」が混ざっていませんか。 書いていて少しでも引っかかるなら、その感覚は当たっていると思います。
なお、私はこの会社を3年で辞めています。理由は別にありますが、その記録はこちらです。
デベロッパーを3年で辞めた理由|設備系コンサルへ2回目の転職記録
逆に、効いたと確信している部分
明確に効いたと分かっている記述が2つあります。
1つは、履歴書の自己PRに書いた電気一筋の経歴。高校の学科から大学、社会人まで一貫して電気をやってきたという流れです。
もう1つが、「3年目で一人現場の現場代理人を担当し、着工から竣工までやりきった」という一文。
この2つは、面接で必ず聞かれました。 全社です。
つまり、面接で聞かれる箇所こそ、面接官が興味を持った箇所。書類のどこが刺さったのかは、面接での質問を見れば答え合わせができます。
施工管理の転職面接で聞かれたこと|2回の転職で経験した質問と答え方
これから書く方への3ステップ
ステップ1|担当した現場を、数字で棚卸しする
まず、これまでの現場を書き出してください。物件名は不要です。空欄の表を置いておくので、書き写して担当した現場の数だけ埋めてください。
| 項目 | 記入例 | あなたの場合 |
|---|---|---|
| 工事名(物件名は伏せ、用途を入れる) | 〇〇県〇〇市 工場新築工事 | |
| 構造・階数 | S造 地上〇〇階建て | |
| 延床面積 | 〇〇㎡ | |
| 工期 | 〇年〇月〜〇年〇月(〇年〇ヶ月) | |
| 役職 | 現場代理人 | |
| 受注額 | 〇億円 |
古い現場ほど記憶が曖昧になります。資料や写真から拾えるものは、在職中のうちに集めておくのが確実です。
ステップ2|志望動機に、自分にない適性を書かない
これが私の一番の反省です。
幅広くやりたいと書けば、幅広く期待されます。 見栄えのいい言葉を並べる前に、「これを書いて入社したら、自分は困らないか」を一度考えてください。
書いていて違和感があるなら、その違和感は正しいです。
ステップ3|添削してもらう相手を確保する
自分ひとりで書き上げた書類は、必ずどこかが独りよがりになります。私は3週間で3回の添削を受けて、ようやく完成しました。
登録したからといって、転職しなければいけないわけではありません。書類を見てもらうだけでも、自分の経験が外からどう見えるかが分かります。
まとめ
施工管理の職務経歴書は、物件名を伏せて数字で書き、1枚に収まる範囲で担当現場を並べる。 これで規模も難易度も経験値も伝わります。一人現場のような実績は、説明を足すより役職と年次を並べたほうが、相手が見つけてくれます。
そして志望動機には、自分にない適性を書かないこと。書いた通りの期待をされます。
私の書類は10社すべての選考を通過しましたが、完璧ではありませんでした。この記事が、同じ失敗を避ける材料になれば嬉しいです。
- 転職活動の全体像は → 施工管理の転職まとめ|サブコン6年→発注者側へ移った私の全記録


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