「施工管理を辞めたい」——そう思いながら、何もせずに1年が過ぎた。そんな経験はありませんか。
私もそうでした。同僚や友人と飲みながら不満を口にして、その場ではスッキリする。でも翌日は同じ現場に立っている。頭の中で思っているだけでは、そのまま流れていってしまうと感じていました。
そこで私がやったのが、この記事で紹介する自己分析です。日々の思いをスマホのメモに蓄積し、最後にそれを整理して、転職を決断しました。準備期間は約1年。うち自己分析に10ヶ月、その後は選考書類を作りながら並行して続けました。ただし、まとめ作業自体は最後の1ヶ月程度です。
やり方はシンプルで、不満を4つに仕分けて、メリットと並べて、判断する——それだけです。特別なツールも、まとまった時間も要りません。
結論|自己分析の目的は「答えを出す」ことではなく「見えるようにする」こと
先に、この自己分析で何が起きたかを書きます。
分析する前から、結論めいたものは頭の中にありました。同僚と話していた内容も、だいたい同じです。でも、それは自分の中に留まったままでした。
文章にして、言語化して、可視化したとき——自分が思っていた感情も、理想も、そして厳しい現状も、全部が目に見える形になりました。そして分かったのは、やっぱり、いまの環境が自分は嫌なんだということでした。
そこで初めて、転職活動で環境を変えようと決心できました。自己分析は、新しい答えを出す作業ではなく、すでに自分の中にある答えを、動ける形に変える作業だと思っています。
ステップ1|日々の思いを、スマホのメモに溜める
まず始めたのは、記録です。特別な時間は作りませんでした。
現場で嫌だと感じたこと、逆に「この仕事はよかった」と思えたこと、経験して得たもの——思ったときにスマホのメモ帳に打ち込むだけ。通勤電車でも、休憩中でも構いません。
これを10ヶ月続けました。その後も、選考書類を作りながら気づいたことを追記しています。長く感じるかもしれませんが、意識してやったのは最初だけで、あとは思いついたときに追記する程度です。大事なのは量ではなく、感情が動いた瞬間に、その場で言葉にしておくこと。後から思い出そうとすると、記憶は都合よく薄まってしまいます。
書き方に決まりはありません。私のメモに並んでいたのは、「土曜に1時間の作業のために出勤した」「元請けの遅れで24時まで現場に残った」「受電で照明が一斉に点いた瞬間は嬉しかった」といった断片です。きれいな文章にする必要はまったくなく、事実を一行残しておけば十分です。
なお、「嫌だったこと」だけでなく「よかったこと」も書いておいてください。後のステップで、残る理由を検討するときに必要になります。
ステップ2|不満を4つに仕分ける
溜まったメモを、次の4つに分類します。私が使った分類です。
| 分類 | 書き出す内容 | 私の場合 |
|---|---|---|
| 残業 | 時間、手当の有無、申告と実態の差 | 実態は月平均71時間。手当のつかない残業が年間386時間 |
| 業務内容 | 主体的に動けるか、本来の専門業務ができているか | 下請けの立場が続き、自分のペースで仕事を進められない |
| 労働環境 | 休日、通勤、設備、周囲との考え方の違い | 土曜出勤が当たり前で週休1日。職人さんと働く前提が違う |
| 人 | 上司・後輩・人員体制、将来性 | 退職者は出るのに新しい人が入らず、将来に不安 |
仕分けることの意味は、不満の正体が見えることです。漠然と「しんどい」と思っているものが、実は残業時間の問題なのか、立場の問題なのか、人の問題なのか——分けて初めて、「では何を変えればいいのか」が判断できます。
私の場合、書き出してみると残業・業務内容・労働環境の3つが決定的でした。
- 業務内容:今後もゼネコンの下請けに入ることが続き、自分のペースで仕事ができない(下請けの立場で自分のペースを崩される具体的な場面は、サブコンを辞めたい|キツさの正体は「立場」だった。6年働いた私の結論に書きました)
- 労働環境:土曜の現場出勤が当たり前で、休日が単純に少ない。働き方の考えが違う職人さんと現場を回し続けるのは限界だと感じた
- 残業:残業した分がすべて支給されるならまだしも、そうはならない。この先もサービス残業が続くのはキツい。そもそも定時で帰って、趣味や自己投資に時間を使いたかった
ちなみに「人」については、不満がなかったわけではありませんが、決定打にはなりませんでした。むしろ、先輩や協力会社の方々と働けることは、残る理由の側にあったくらいです。分類してみると、自分にとって何が決定的で、何がそうでないのか——その重みの差まで見えてきます。
当時の労働環境を数字で記録したものは、別記事で公開しています。
施工管理業務 サービス残業のリアル | 勤務表と実態の差を記録で公開
ステップ3|メリットとデメリットを、並べて書く
不満だけを書き出すと、視野が偏ります。そこで、今の会社に残るメリットも並べて書き出します。
私が書き出したメリットは、たとえばこういうものでした——電気設備に関わる仕事を続けられること、顔馴染みの協力会社と仕事がしやすいこと、地図に残る仕事ができること、今の先輩・上司と働き続けられること。
正直、どれも本心でした。辞めたい理由があるからといって、良いところがゼロなわけではありません。だからこそ、両方を並べて眺めることに意味があります。
並べてみて分かったのは、メリットの数よりデメリットの数が圧倒的に多かったこと。そして、メリットの多くは「人間関係」や「愛着」に関するもので、デメリットは「労働条件そのもの」だったことです。
ステップ4|決断のロジック
最後が、判断です。私が使った考え方を、そのまま書きます。
まず、前提を認める。転職したからといって、不満点が解決するとは限りません。むしろ悪化する可能性もリスクもあります。ここを見ないふりをすると、判断を誤ります。
次に、現状を見る。では、今の環境で、その不満が改善される気配はあるか。私の答えは「ない」でした。
そして、選択肢を整理する。取れる道は3つあります。
- 改善されるのを待つ
- 自分で改善する
- すでに改善されている会社に行く
1と2ができないなら、残るのは3です。「改善されるかもしれない場所」を待つのではなく、「すでに改善されている場所」へ行く。そのほうが、不満が早く解消される可能性は高い——そう考えて、私は転職を決めました。
このロジックの良いところは、感情ではなく手順で結論に辿り着けることです。「辞めたい」という感情は日によって揺れますが、この問いへの答えは揺れません。
決断できたら、次は伝える番です。私が実際にいつ・誰に・どんな言葉で退職を切り出したのかは、別記事に記録しています。
なぜ、書き出す必要があるのか
「頭の中で分かっているなら、わざわざ書かなくてもいいのでは」と思うかもしれません。私も最初はそう思っていました。
でも、頭の中にあるうちは、それは流れていきます。飲み会で愚痴って、翌朝には忘れて、また同じ現場に立つ。1年が過ぎ、2年が過ぎる。私が書き出そうと思ったのは、まさにこの状態を止めたかったからです。
アウトプットして可視化することには、3つの効果がありました。
- 動くきっかけになる:形にした瞬間、判断せざるを得なくなる
- 感情が事実に変わる:「なんとなく嫌」が「この条件が嫌」になる
- 転職活動でそのまま使える:転職理由も、企業選びの軸も、面接での受け答えも、この分析が土台になった
3つ目は実務的に大きかったです。私はこの分析をもとに「これだけは嫌なこと」のリストを作り、それを裏返して転職先の条件にしました。エージェントとの面談でも、面接でも、話す内容はここから出てきています。
転職エージェント面談で聞かれたこと|施工管理が「業界に詳しい担当者」を選ぶ方法
今日からできること
まとめると、やることは4つです。
- スマホのメモに、嫌だったこと・よかったことを溜める
- 溜まったら、残業・業務内容・労働環境・人の4つに仕分ける
- 今の会社に残るメリットも書き出して、並べる
- 「この環境で改善される気配はあるか」を自問する
仕分けに使う表を、空欄で置いておきます。書き写して使ってください。
| 分類 | 書き出す内容 | あなたの場合 |
|---|---|---|
| 残業 | 時間、手当の有無、申告と実態の差 | |
| 業務内容 | 主体的に動けるか、専門業務ができているか | |
| 労働環境 | 休日、通勤、設備、周囲との考え方の違い | |
| 人 | 上司・後輩・人員体制、将来性 |
私は準備に約1年かけましたが、まとめ作業自体は1ヶ月程度です。今日メモを始めれば、数ヶ月後には判断材料が揃います。
なお、この分析をやった結果、「思ったより残る理由のほうが強い」という結論になる方もいると思います。それも立派な成果です。「なんとなく辞めたい」を抱えたまま働き続けるのと、「自分は残ることを選んだ」と納得して働くのとでは、日々の意味がまるで違います。分析の目的は転職することではなく、流されずに自分で決めることです。
そして、分析の結果「やはり環境を変えたい」となったら、次は自分の経験が外でどう評価されるかを知る番です。登録したからといって、転職しなければいけないわけではありません。自己分析という「内側の材料」に、市場の評価という「外側の材料」を足すと、判断の精度が上がります。
まとめ
転職の自己分析は、難しい作業ではありません。思ったことを書き溜め、4つに仕分け、メリットと並べ、改善の見込みを問う——これだけです。
私の場合、この作業を経て「やっぱり、いまの環境が自分は嫌なんだ」とはっきり分かり、転職活動に踏み出せました。頭の中で1年悩んでいたことが、書き出した1ヶ月で決まった、という感覚です。
いま「辞めたいけど動けない」という方は、まずスマホのメモを開くところから始めてみてください。
転職活動の全体像は、こちらのまとめページにあります。
施工管理の転職まとめ|サブコン6年→発注者側へ移った私の全記録


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