設備系コンサルタントの仕事内容|元施工管理が書く実務のすべて

2棟の建物の間に立つ人物のピクトグラム|設備系コンサルタントの仕事内容 転職体験記
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見積書と設計図を並べて見たとき、「この内容でこのケーブルの数量は多すぎる」と気づく。

これが、いまの私の主な仕事です。

私は電気サブコンで施工管理を6年経験し、デベロッパーを経て、現在は設備系コンサルタントとして働いています。現場に常駐することはなくなりましたが、電気の知識は施工管理時代と同じかそれ以上に使っています。

設備系コンサルタントは、求人票を見ても仕事の中身が分かりにくい職種だと思います。この記事では、日々どんな業務をしているのかを、現職の立場から具体的に書きます。


結論|現場の当事者ではなく、中立の立場から見る仕事

先に結論を書きます。

設備系コンサルタントは、事業主と施工者・設計者の中間に立ち、中立的な立場で助言する仕事です。

施工管理は現場の当事者でした。工程を回し、納まりを考え、竣工まで持っていく立場です。いまは違います。俯瞰して見る側に回りました。

ただし、事業主の味方一辺倒ではありません。事業主が客観的に見て厳しすぎることを言っている場面では、施工者や設計者の立場に立って意見することもあります。どちらか一方につかないのが、この仕事の芯にある部分です。

  • 事業主と施工者・設計者の中間に立つ中立の立場
  • 電気の知識はフルに使う。空調・衛生は別の担当がいる
  • 現場に出るのは1案件あたり5回程度

誰から仕事を受けるのか

依頼主は、建物を持っている側、あるいはこれから建てる側です。

具体的にはデベロッパーや不動産会社、事業会社。土地は持っているけれど建築の知識がない事業主、所有する建物をリブランドしたいが判断材料がない事業主——そういった方々から依頼を受けます。

ゼネコンや設計事務所から直接仕事を受けることはありません。 ただし、プロジェクトを進める中でのやり取りは頻繁にあります。立場としては、依頼主の側に立ちながら、施工者・設計者とも日常的に関わることになります。

なお、前職で一緒に仕事をした方と、立場を変えて再会することもあります。狭い業界なので、そういう場面は起こり得ると思っておいたほうがいいです。


実際にやっている4つの業務

日々の仕事は、大きく4つです。

① 見積書の査定

施工者から出てきた見積書を、単価と数量の両面からチェックします。この4つの中で、最も時間を使う業務です。

明細の行数は案件によって幅がありますが、大きな案件では数百行から数千行になります。その一行ずつを見ていくことになります。

確認するのは2点です。単価が相場から外れていないか。そして、その数量が設計図の内容に対して妥当か。

単価については、この会社に蓄積された過去案件のバックデータと照合します。多くの案件を扱っているぶん、比較材料が豊富です。あわせて建設物価の資料とも突き合わせます。

数量については、設計図を見ながら判断します。図面上でこの配線ルートなら、ケーブルはこの長さで足りるはずだ——という検証です。ここが施工管理の経験に一番支えられている部分になります。

② VE・CD案の提案と査定

VE・CD案(Value Engineering / Cost Downの略で、品質を保ったままコストを下げる提案のこと)を扱います。

施工者から出てきた案を確認する仕事もありますが、実際に多いのは、こちらから提案するほうです。

ここが面白いところで、施工者とも設計者とも違う角度から案が出てきます。 設計者は設計の意図から、施工者は施工のしやすさから考えます。私たちは事業主の予算と、建物が完成した後のことを見ている。立ち位置が違うぶん、両者からは出てこない案にたどり着くことがあります。

施工者の案を確認する場合は、金額が下がるという結果だけを見るわけにはいきません。仕様を落としたことで将来の維持管理に支障が出ないか、機器の性能は要求を満たしているか。事業主にとって長期的に損にならないかを見ます。

③ 設計図のチェック

設計事務所が作成した設計図を、第三者の目線で確認します。

設計者は設計のプロですが、施工の細部まで知り尽くしているとは限りません。現場でどう納まるかを知っている側から見ると、気づける部分があります。 施工段階になってから発覚する問題を、図面のうちに潰しておく作業です。

④ 概算金額の算出

新築・改修を問わず、事業予算を立てる段階で概算金額を算出します。

まだ設計者もゼネコンも決まっていない、プロジェクトの最初期です。図面がない状態から、建物の用途と規模だけを手がかりに金額を積み上げていきます。 この業務が、施工管理の経験だけでは足りなかった部分でした(後述します)。


プロジェクトの最初から最後まで関わる

上の4つを単発で請けることもありますが、プロジェクト全体に伴走する場合もあります。

その場合の流れはこうです。

段階主な役割
事業予算の決定概算金額の算出
設計者の決定選定の支援
基本計画・基本設計・実施設計設計図のチェック
ゼネコン入札・決定見積書の査定、VE・CD案の提案と確認
施工期間中工程の管理・助言、施工要領書やプロット図のチェック
検査・引き渡し中間検査、竣工検査、引き渡し書類・竣工図のチェック

予算を立てる段階から、引き渡し書類のチェックまで。 建物が生まれてから完成するまでの全工程に、第三者として関わることになります。


施工管理の経験が、どこで効くか

見積書を見た瞬間に、違和感が分かる

一番大きいのはここです。

「この内容でこの数量のケーブルは要らない」「このケーブルラックは多すぎる」「この単価は明らかにおかしい」——見積書と設計図を並べたとき、こうした違和感が先に働きます。

これは現場で施工を間近に見てきた経験、そして増減見積を自分で作ってきた経験がなければ持てない感覚です。図面と実物がどう繋がるかを知らないと、数字が正しいかどうかは判断できません。

事業主の多くは、電気設備の詳細な知識を持っていません。その見積が妥当かどうかを判断する材料を提供するのが、私の仕事です。

現場で増減見積を作っていた頃は、それが将来こういう形で役に立つとは思っていませんでした。

その増減見積を現場でどう作っていたのかは、こちらにまとめました。

増減見積の作り方|現場で赤字を出さないための予算管理

電気の知識はフルに使う

正直に言うと、この点は転職前の想定と違いました。もっと広く浅くなるかと思っていましたが、電気の知識は施工管理時代と同じかそれ以上に使います。

空調・衛生については、別の担当者がいます。私は電気に集中できる環境です。

前職では「幅広くやりたい」と書いた志望動機で失敗しましたが、結果的に電気を深くやる場所に落ち着きました。

施工管理の職務経歴書|10社の書類選考に通った書き方


逆に、施工管理の経験だけでは足りなかったこと

概算金額の算出です。ここは苦労しました。

施工管理の仕事は、実施設計図という、ある程度形づけられたものを、施工図に落として実際に納まるようにしていく業務です。1あるものを10や100にするイメージでした。

対して概算金額の算出は、0を1にする仕事です。

しかも施工管理時代は、受注額という枠が営業によって決められた状態から始まります。その枠の中でどう納めるかを考えるので、「この規模の工場なら何億円台か」というレンジの感覚が身についていませんでした。

ただ、これは慣れれば身につきます。本質的な部分では、施工管理の経験が確実に活きています。


働き方はどう変わったか

数字で書きます。

項目内容
勤務時間9:00〜17:30(昼休み1時間、実働7時間30分)
残業月10時間以下。毎日残業することはない
在宅勤務週の半分程度
休日カレンダー通り。年末年始は連休になるよう調整あり
転勤なし
現場に行く頻度1案件あたり5回程度

現場に行くのは、中間検査、竣工検査、プロット図の打ち合わせなど、電気・設備で重要な場面に限られます。 現場常駐の部署が別にあるので、日常的な管理はそちらに任せる体制です。

案件は九州から北海道まで全国にあるので、遠方の現場には出張になります。ただし転勤はありません。

  • 勤務:9:00〜17:30(実働7時間30分)
  • 残業:月10時間以下
  • 在宅:週の半分程度
  • 現場:1案件あたり5回程度

デベロッパー時代との違い

私は施工管理からデベロッパーへ移り、そこから設備系コンサルタントへ転職しました。同じ「発注者側」でも、この2つは違います。

デベロッパーは事業主そのものです。極端に言えば、事業主の目線が絶対でした。

設備系コンサルタントは違います。事業主から依頼を受けてはいますが、施工者の目線と設計者の目線を持っていないと成立しません。 相手の立場を理解したうえで、中立に助言する必要があるからです。

私にはこちらのほうが合っています。施工管理で培った施工者側の目線が、必須のスキルとして求められるからです。デベロッパーでは、その視点は「あると良いもの」でしたが、いまは「ないと務まらないもの」になっています。

2回目の転職を決めた経緯は、こちらに書きました。

デベロッパーを3年で辞めた理由|設備系コンサルへ2回目の転職記録


向いている人・向いていない人

向いている人

現場の知識を活かしたいが、現場に張り付く働き方は続けたくない人です。

サブコン時代のように現場に常駐して、他工種の都合に振り回される日々は避けたい。でも積み上げた知識は捨てたくない——そういう方には合うと思います。

もう1つ、淡々とコツコツ積み上げられる人です。

見積書の明細は、案件によって数十行のこともあれば、大きな案件では数百行から数千行に及ぶこともあります。 その一行ずつについて、単価が相場から外れていないか、数量が図面と合っているかを検証していきます。

概算金額の算出も同じで、数字を一つずつ積み上げていく作業です。この地道さを苦にしないかどうかが、そのまま適性になります。

向いていない人

大雑把に進めたい人には厳しいと思います。

この仕事では、出した数字や指摘について、後から根拠を問われます。「なんとなくこう思った」では説得力が出ません。自分の判断を数字と理屈で説明できることが前提になります。


施工管理から目指すなら、何が必要か

資格

1級電気工事施工管理技士は必要です。 業務上の必須要件というより、周囲に対する説得力の問題です。指摘する立場である以上、裏付けとなる資格は持っておくべきだと思います。

建築設備士があると、なお良いと思います。

1級電気工事施工管理技士は転職で有利?実際は「有利」より重い意味があった

現場経験

これが本質です。現場代理人を経験していることが、一つの目安になります。

現場代理人でなくても、補佐として現場を前線でまとめ上げた経験があれば問題ないと思います。逆に、指示された作業だけをこなしてきた立場では厳しいというのが正直なところです。

見積の妥当性を判断するにも、設計図の問題点に気づくにも、現場全体を動かした経験が必要だからです。


転職を考えるなら

設備系コンサルタントは、求人数の多い職種ではありません。一般的な転職サイトで「建設」のカテゴリを眺めていても、なかなか出てきません。

私自身、この仕事にたどり着けたのは、担当のエージェントが業界を理解していたからです。1回目も2回目も、同じ方に伴走してもらいました。

登録したからといって、転職しなければいけないわけではありません。まずは「こういう職種がある」と知っておくだけでも、選択肢は変わります。


まとめ

設備系コンサルタントは、事業主と施工者・設計者の中間に立って、中立的に助言する仕事です。見積の査定、VE・CD案の提案、設計図のチェック、概算金額の算出。プロジェクトの予算決定から引き渡しまで、第三者として関わります。

施工管理の経験は、見積書を見た瞬間の違和感という形で活きます。現場で増減見積を作っていた日々が、そのまま判断材料になっています。

現場を離れても、現場の知識は武器のまま使えます。 そういう働き方もあるということが、伝われば嬉しいです。

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