「中間検査と竣工検査、何を見られるんだろう」
検査の前日になると、そわそわしませんか。自分では準備したつもりでも、どこを突かれるか分からない。私も施工管理をしていた頃は、そうでした。
いまは発注者側にいて、検査に立ち会う立場です。中間検査も竣工検査も、頻繁に見ています。
この記事では、発注者側が検査で実際に見ているところを書きます。電気設備の担当なので、電気を中心にまとめました。指摘が多い箇所と、「この会社は分かっているな」と感じる共通点も書いています。
結論|見られているのは「仕上がり」だけではない
先に結論です。
検査で見られているのは、現場の仕上がりと、書類と、当日の段取りの3つです。
仕上がりだけを整えても、写真や検査記録が揃っていなければ、見られない部分の施工品質を判断できません。当日の段取りが悪ければ、確認したい試験ができません。
- 中間検査は隠蔽部、竣工検査は仕上がりを見る
- 現場で見えない部分は、写真と書類で確認している
- 検査当日の段取りにも、会社の姿勢が出る
中間検査と竣工検査は、見る場所が違う

まず押さえておきたいのが、2つの検査で見る場所が違うことです。
検査の当日、私は現場から見ます。 どこから始めるかは決まっていませんが、建物の入口から順番に回っていくイメージです。
竣工検査は「仕上がり」
天井も壁も仕上がった状態で、実際に使える状態になっているかを確認します。
中間検査は「隠蔽部」
天井内や壁内など、仕上げ材で塞がれる前に確認します。
竣工検査の時点では、天井や壁が出来上がっていて、隠蔽部分は見えません。だから、中間検査のタイミングで見ておく必要があります。
そして、隠蔽部は仕上がってしまうと取り返しがつきません。 やり直すなら解体からになります。だからこそ、中間検査では隠蔽部を重点的にチェックします。
この「後戻りできないものを先に確認する」という考え方は、消防の事前協議とも共通します。
消防検査で指摘されたこと|事前確認で防げるものと防げないもの
竣工検査で見ているところ|電気設備
竣工検査で、電気設備について実際に確認している項目を挙げます。
- 照明の明かりの具合、見え方
- スイッチの点滅区分
- 照明の照度測定(図面どおりの明るさが出ているか)
- 非常用照明と誘導灯の動作試験(ブレーカーを遮断し、バッテリーのみで点灯するか)
- コンセントの電圧確認(テスターで1〜2箇所測定してもらう)
- コンセントテスターによる確認(極性、接地、漏電遮断器の動作。見た目では分からない部分)
- 放送設備の動作(音声を流し、アッテネーターで音量を操作)
- ピット内のケーブル配線状況(布設されている場合)
図面上で正しくても、実際に動かしてみないと分からないことがあります。だから、その場で操作してもらいます。
なお、受電の当日にも絶縁耐力試験や継電器試験を行います。竣工検査はその後の段階です。受電までの流れは、こちらにまとめています。
中間検査で見ているところ|隠蔽部
中間検査では、塞がれる前の状態を確認します。
- 天井内のケーブル配線状況
- 天井裏の防火区画貫通処理
- 壁、軽量鉄骨、ボックスと配管の建込み状況
隠蔽部が多い現場は、写真で確認する
規模が大きい現場では、すべてを目視することはできません。 その場合は、書類と写真で確認します。
たとえばスラブ配管は、検査の時点ですでにコンクリートの打設が終わっています。現物は見られないので、写真が唯一の確認手段になります。
中間検査で書類を見るかどうかが「場合による」のは、この理由です。隠蔽部が多いほど、写真の重みが増します。
指摘が多いのは、この4つ
立ち会っていて、繰り返し指摘することになる箇所があります。
| 検査 | 指摘される箇所 | 内容 |
|---|---|---|
| 竣工検査 | 照明の点滅区分 | 図面で決めていても、現場で見るとイメージと違うことが多い |
| 竣工検査 | コンセントの回路番号表示 | プレートの表面か裏面にテプラで表示。どちらもないことが多い |
| 中間検査 | 天井内のケーブル配線 | 交差している、整理されていない |
| 中間検査 | 防火区画貫通処理の認定シール | 処理はされているのに、貼り忘れている |
照明の点滅区分は、施工者には申し訳ないのですが、事業主が特に厳しく見る項目です。図面で範囲を決めていても、実際に点いたところを見ると「この列とこの列が一緒に点くのはおかしい」という話になります。
コンセントの回路番号表示は、竣工図にも記載があります。それでも現地に表示があると、不具合が起きたときにどの回路かすぐ分かります。 引き渡した後に効いてくる部分です。
天井内のケーブル配線と認定シールは、どちらも塞いでしまえば見えなくなる場所です。見えなくなる場所ほど、施工品質が出ます。
「分かっている会社」に共通すること
検査に立ち会っていると、準備の差がはっきり出ます。
| 条件 | 中身 | 発注者から見えること |
|---|---|---|
| 写真 | 各部屋で1箇所、各階の廊下で1箇所、各階のEPS内で1箇所など、決めて撮る | 見えない部分も、しっかり施工されていると分かる |
| 検査記録 | サブコン・ゼネコン双方の記録が、書類として残っている | 自社でも検査を実施していることが分かる |
| 検査補助員 | 2〜3人連れてくる | 当日の段取りができている |
写真は、全箇所でなくていい
隠蔽部は現場でも見ますが、規模が大きければ全箇所は無理です。そこで写真を見ます。ポイントを決めて撮られていれば、それで判断できます。
どのタイミングでどう撮るか、撮り忘れをどう防ぐかは、撮る側の立場からまとめました。
検査補助員は、意外に見られている
竣工検査では、ブレーカー操作や照度測定など、施工者が一人ではできない確認があります。
たとえば非常用照明がバッテリーで動作しているかを確認するとき、非常用照明側に1人、分電盤側でブレーカーを遮断する人が1人、最低でも2人必要です。トランシーバーや携帯電話で連絡を取り合いながら、ブレーカーをオン・オフします。
準備不足の会社は、この段取りができていません。検査の場で人を探し始めると、その時間がそのまま止まります。
発注者側が施工会社のどこを見ているかは、見積の場面でも同じです。
まとめ|検査は、当日だけの話ではない
検査で見られているのは、3つです。
- 現場の仕上がり(竣工検査)と隠蔽部(中間検査)
- 写真と検査記録(見えない部分を裏づけるもの)
- 当日の段取り(人員と手順の準備)
どれも、検査の当日に用意できるものではありません。日々の施工と記録の積み重ねが、そのまま出ます。
逆に言えば、やることははっきりしています。
普段からやっておくこと
- 隠蔽部の写真を、各部屋・各階廊下・各階EPSなどポイントを決めて撮る
- 社内の検査記録を、書類として残しておく
- 検査当日の補助員を、2〜3人手配しておく
検査の前に、自分で一周して確認すること
- 照明の点滅区分を、実際にスイッチを押して確かめる(竣工検査)
- コンセントの回路番号表示が貼られているか見る(竣工検査)
- 天井内のケーブル配線が整理されているか見る(中間検査)
- 防火区画貫通処理の認定シールに、貼り忘れがないか見る(中間検査)
後半の4つは、この記事で挙げた「指摘が多い箇所」そのものです。前日に自分で一周しておけば、指摘の多くは防げます。 準備できていれば、検査は通ります。
一人で現場を回していると、写真も記録も後回しになりがちです。私もそうでした。どう習慣にしていたかは、こちらに書いています。


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