近年、大谷翔平や山本由伸をはじめ、多くの日本人選手がMLB(メジャーリーグベースボール)で活躍しています。
その影響もあり、MLBへ挑戦する選手の数が増えており、その挑戦方法も様々となっています。
記憶に新しいのは、2024年、佐々木麟太郎がMLBへの挑戦を視野に入れ、スタンフォード大学へ進学したことです。現在、MLBへの挑戦方法は、数多く存在するため、「MLBへの移籍方法は?」「どうすればメジャーに行けるの?」と気になる人も多いのではないでしょうか。
本記事では、日本人選手がMLBへ移籍する主な方法・仕組み・条件を分かりやすく解説します。
MLBへの移籍方法は8つある
日本人選手がMLBへ移籍するルートは、現状8つです。
- ポスティングシステム
- FA(フリーエージェント)
- 社会人→マイナー契約
- 高校→アメリカ大学
- 高校→マイナー契約
- 独立リーグ→マイナー契約
- 大学→マイナー契約
- 大学中退→アメリカ大学
表にまとめると以下のようになります。
| 移籍ルート | 主な選手 | 移籍先 | ポジション | 実施年 |
|---|---|---|---|---|
| 1. ポスティングシステム | 岡本和真 山本由伸 大谷翔平 | 巨人→ブルージェイズ オリックス→ドジャース 日本ハム→エンゼルス | 野手 投手 投手・野手 | 2026年 2024年 2018年 |
| 2. FA(フリーエージェント) | 菅野智之 松井裕樹 千賀滉大 | 巨人→オリオールズ 楽天→パドレス ソフトバンク→メッツ | 投手 投手 投手 | 2025年 2024年 2023年 |
| 3. 社会人→MLB | 田澤純一 | 新日本石油ENEOS →レッドソックス | 投手 | 2008年 |
| 4. 高校→アメリカ大学 | 佐々木麟太郎 | 花巻東→スタンフォード大学 | 野手 | 2024年 |
| 5. 高校→マイナー契約 | 森井翔太郎 | 桐朋→アスレチックス (マイナー) | 投手・野手 | 2025年 |
| 6. 独立リーグ→マイナー契約 | 大山盛一郎 | アメリカ独立リーグ →マリナーズ(マイナー) | 野手 | 2025年 |
| 7. 大学→マイナー契約 | 常松広太郎 | 慶応大→カブス(マイナー) | 野手 | 2026年 |
| 8. 大学中退→アメリカ大学 | 佐藤幻英 | 仙台大→アメリカ大学 | 投手 | 2026年 |
2024年の佐々木麟太郎(花巻東→スタンフォード大学)を筆頭に、ここ3年間で新たなMLBへの挑戦ルートが増えている印象です。
それぞれ詳しく見ていきます。
1. ポスティングシステム
ポスティングシステムとは?
ポスティングシステムとは、NPB(日本プロ野球)球団が選手をMLBに譲渡する制度です。
球団の了承が必要で、選手が自由に行えるわけではありません。
- NPB所属球団側の同意が必須
- MLB球団と契約成立で移籍
- 日本球団には譲渡金(ポスティングフィー)が支払われる
現在、NPBからMLBへ行く最も一般的な方法がポスティングシステムです。
- 岡本和真(巨人→ブルージェイズ) 2026年 巨人への譲渡金:16億9,000万円
- 山本由伸(オリックス→ドジャース) 2024年 オリックスへの譲渡金:70億9,000万円
- 大谷翔平(日本ハム→エンゼルス) 2018年 日本ハムへの譲渡金:23億円
山本由伸、ドジャース移籍に伴うオリックスへの譲渡金:70億9,000万円は歴代トップです。
いかにMLBからの評価が高かったがわかる金額です。
※2位は松坂大輔、レッドソックス移籍に伴う西武への譲渡金:60億円
2025年ワールドシリーズでMVPを獲得するなど大活躍の山本由伸
Photo:Getty Images
2026年以降、日本人初のサイ・ヤング賞獲得も期待したい
2026年メジャーリーグへ挑戦する岡本和真
Photo:トロント・ブルージェイズ公式SNS
2025年アメリカンリーグチャンピオンのブルージェイズへの加入が決定
2. FA(フリーエージェント)
FA(フリーエージェント)とは?
FA(フリーエージェント)とは、NPBで9年以上プレーした選手が取得できる権利です。
この権利を得ると、MLB球団と直接交渉が可能になります。
- NPB所属球団側が引き止める権利が無い
- 好条件で契約しやすい
- 権利を取得するまでに長期間が必要
ポスティングシステムとは異なり、NPB所属球団側が引き止める権利がありません。一方で権利を取得するまでに9年という長期間が必要です。
※高卒の場合、27歳〜28歳
※大卒の場合、31歳〜32歳
若いうちからMLBに挑戦したい選手には不向きな制度と言えます。
- 菅野智之(巨人→オリオールズ) 2025年 移籍時の年齢:35歳
- 松井裕樹(楽天→パドレス) 2024年 移籍時の年齢:28歳
- 千賀滉大(ソフトバンク→メッツ) 2023年 移籍時の年齢:31歳
FAは、年齢が30代になってから、MLBへ挑戦するパターンが多く、オールドルーキーと呼ばれることもあります。
2025年 35歳でMLBへ移籍した菅野智之
Photo:Getty Images
オールドルーキーと呼ばれる中、シーズン10勝と数字を残し、1年を通して先発ローテーションを守った
2026年の所属チームは未定だが、新たなチームでも活躍に期待したい
3. 社会人→MLB
社会人野球からMLBとは?
日本のアマチュア球界に属する社会人野球の選手がMLB球団と直接契約する方法です。
- NPBを経由せずに直接MLBへ挑戦可能
- 実力不足な場合が多くメジャー契約まで辿り着きにくい
- 成功例が田澤純一の1人のみ
直接、MLBへ挑戦可能ではありますが、アマチュア野球出身でプロとして実績を残していない選手なので、メジャー契約ではなく、マイナー契約であることがほとんどです。
- 田澤純一(新日本石油ENEOS→レッドソックス) 2008年
- 吉川峻平
(パナソニック→ダイヤモンドバックス(マイナー)) 2018年
唯一の成功者は、田澤純一です。
当時、NPBのドラフト候補でしたが、本人はメジャー希望を表明していました。そのため、NPB12球団は田澤を指名せずにドラフトは終了。その後、レッドソックスとメジャー契約を結びました。
2013年にリリーフとして、ワールドチャンピオン達成に大きく貢献するなど成功を納めました。
ほとんどの場合は、メジャー契約ではなく、マイナー契約です。
2018年にパナソニックの吉川峻平もマイナー契約でダイヤモンドバックスへ進みましたが、メジャー昇格はならずに引退。
過去にマック鈴木、多田野数人がマイナー契約からメジャー昇格まで行きましたが、目立った成績は残せませんでした。
アマチュア球界から直接MLBへ挑戦した選手で、唯一の成功者と呼ばれた田澤純一
Photo:Getty Images
2013年、上原浩治と共に、レッドソックスのブルペンを支え、ワールドチャンピオンに大きく貢献
4. 高校→アメリカ大学
高校野球→アメリカ大学とは?
高校からNPB、日本の大学・社会人には進まずに、アメリカの大学へ進学し、MLBへ挑戦する方法です。
この挑戦を選択した代表的な選手は佐々木麟太郎です。
佐々木麟太郎より以前にも高校からアメリカの大学へ進学する選手も存在しました。
しかし、佐々木麟太郎は、ドラフト1位確実といわれる実力の持ち主です。その選手がアメリカの大学へ進学するルートを選んだことにより、一気に話題になりました。
アメリカの大学でプレーをし、MLBのドラフトに指名されることによりMLBに挑戦するルートとなっています。
佐々木麟太郎は、2024年スタンフォード大学へ進学しました。
2年後の2026年7月に最初のMLBドラフトを迎えます。ここで指名されれば新たなMLB挑戦へのルートを切り開いたといえます。
MLB挑戦の話題から話が逸れますが、2025年のNPBドラフト会議にて、ソフトバンクとDeNAが佐々木麟太郎を指名しています。抽選の結果ソフトバンクが交渉権を獲得しました。
佐々木麟太郎が、2026年7月のMLBドラフトにて指名漏れなどにより、MLBへ挑戦できなかった場合、ソフトバンクへ入団する可能性もあります。
アメリカの大学進学は、MLBへの挑戦をメインとする中、言い方は良くないかもしれませんが、保険としてNPBへの挑戦も可能となります。
2026年、佐々木麟太郎は、MLBへ挑戦するのか?ソフトバンクでプレーすることを選択するのか?非常に注目されます。いずれにしろ高校からアメリカの大学へ進学する選手は増えると予想されます。
ドラフト1位候補ながら、花巻東からスタンフォード大学へ進学した佐々木麟太郎
Photo:Getty Images
2026年7月のMLBドラフトの結果によりMLBへ挑戦するのか、ソフトバンクでのプレーを選択するのか大きな注目となる
いずれにしろ、MLBへの新たな挑戦ルートを開拓した代表選手
今後、高校生がアメリカの大学へ進学するケースは増加すると予測できる
5. 高校→マイナー契約
高校野球→マイナー契約とは?
高校からNPB、日本の大学・社会人には進まずに、マイナー契約を締結する方法です。
この方法でマイナー契約を締結した代表的な選手は、2025年の森井翔太郎です。
ドラフト3位以上、ドラフト1位の可能性もある選手ですが、プロ志望届を提出せずに、アスレチックスとマイナー契約を締結しました。シンプルにマイナーからメジャーを目指すルートです。
2025年の森井翔太郎は、マイナーのルーキーリーグに所属。主にショートとして、43試合出場、打率.258、3本塁打、27打点、4盗塁とまだまだインパクトが残る成績は挙げていません。経験を積んでいる段階です。
2026年にメジャーへ昇格する期待はあまりできませんが、長い目で見てメジャーへ挑戦するルートと考えられます。ただ、成功例はありません。森井翔太郎が成功者第一号となることを期待します。
MLB挑戦の話題から話が逸れますが、契約金の話題を挙げておきます。
- NPBドラフト1位(2025年阪神ドラフト1位:立石正広)
→1億5,000万円(契約金:1億円+出来高:5,000万円)※NPBのドラフト上限額 - マイナー契約(2024年 森井翔太郎)
→約2億7,500万円(契約金:約2億3,600万円+学業補助:約3,900万円)
驚くことに、マイナー契約の方が、NPBドラフト最高評価の1位選手より契約金が高いのです。
+1億2,500万円、マイナー契約の方が高いです。
お金の面で考えると、マイナーでも良いので、直接MLBへ挑戦する方が魅力に感じる選手もいるはずです。
今後、森井翔太郎のように、高校からマイナー契約で直接MLBへ挑戦する選手は増えると予想されます。
高校からマイナー契約を締結し、メジャーリーグ挑戦を目指す森井翔太郎
Photo:Getty Images
現状、このルートでの成功例は無いので、成功者第一号となることを期待したい
6. 独立リーグ→マイナー契約
独立リーグ→マイナー契約とは?
アメリカ独立リーグからマイナー契約を締結する方法です。
日本の独立リーグ(例:四国アイランドリーグ)のようにアメリカにも独立リーグが存在します。
日本のアマチュア球界からアメリカ独立リーグへ進み、その後、マイナー契約を締結し、シンプルにメジャー昇格を目指すルートです。
過去にこのルートでメジャー昇格を目指す選手は何人か存在しました。
近年だと、大山盛一郎(アメリカ独立リーグ:タイタンズ→マリナーズマイナー契約)がいます。
しかし、成功例はありません。
現状、厳しい挑戦ルートといえます。
アメリカ独立リーグからマリナーズマイナー契約を締結し、メジャー昇格を目指している、大山盛一郎
Photo:Phrake Photography
現状、このルートでの成功例は無いので、成功者第一号となることを期待したい
7. 大学→マイナー契約
大学→マイナー契約とは?
大学からマイナー契約を締結する方法です。
この方法でマイナー契約を締結した代表的な選手は、2026年の常松広太郎です。
慶応大学の主将として、東京六大学リーグで活躍していた選手であり、卒業後、野球は継続せずに、ゴールドマン・サックスへ就職することを表明していました。しかし、カブスからマイナー契約のオファーがあり、就職ではなく、カブスとマイナー契約を締結し、メジャーを目指します。
慶応大学からゴールドマン・サックスへの一般就職を表明していたが、カブスとマイナー契約を締結した常松広太郎
Photo:スポニチ
ゴールドマン・サックスという世界有数の金融機関への就職が決定していた中、カブスとマイナー契約を締結したことは大きな話題となった
8. 大学中退→アメリカ大学
大学中退→アメリカ大学とは?
大学を中退し、アメリカの大学へ編入し、MLBへ挑戦する方法です。
いままでに存在しないルートであり、このルートを切り開き、挑戦するのが佐藤幻瑛です。
2026年に仙台大学からペンシルベニア州立大学へ編入し、2027年7月のMLBドラフトでの指名を目指しています。
佐藤幻瑛は、青森・柏木農高校のエースとしてプレー。140㌔の真っ直ぐを武器にプロからも注目されていましたが、プロへは進まず、甲子園出場の経験もありません。
仙台大学へ進学後、一気に成長します。最速は159㌔まで伸び、3年時には、大学日本代表にも選出されました。日米大学野球選手権では、全て救援で3試合に登板し、4回1/3を1失点という結果を残し、日本の優勝に貢献しました。
2026年のNPBドラフト指名確実の中、アメリカの大学へ編入し、MLBへ挑戦するルートを切り開いたことは大きな話題となりました。
大学からNPBへ進みMLB移籍を目指すとなると時間が掛かり遠回りと捉えることもできます。
佐藤幻瑛の例を見ると、高校では実績や力があまり無い中、日本の大学で最速159㌔のスピードおよび大学日本代表と力と実績を蓄えました。NPBへは進まず、アメリカの大学へ編入し、メジャーへ挑戦するという新しいルートとなります。
高校で目立った力や実績が無い選手もメジャーへの挑戦を可能にするので、希望を与えるルートと捉えられます。
仙台大学からペンシルベニア州立大学へ編入しMLBドラフト指名を目指す佐藤幻瑛
Photo:スポニチ
今までに無かった、MLBへの挑戦ルートを開拓し、高校で力や実績が無い選手に希望を与える選択肢と思われる
成功してもらって、MLB挑戦の可能性を広げることに期待したい
まとめ MLBへの移籍方法は複数存在し、NPBを経由せずにMLBに挑戦する選手は今後増加する
MLBへの移籍方法をまとめました。
主流である、ポスティングおよびFAに加え、様々なルートがあることがわかったと思います。
- 大谷翔平、山本由伸を中心としたMLBでの日本人の活躍
- WBCにおいての世界一
- NPBとの契約金および年俸の格差
これらが、いま間近で発生しており、野球をプレーしている選手はNPBでのプロ野球選手ではなく、MLBでのメジャーリーガーを必然的に目指します。
MLBへ若い年齢、早期から挑戦し、メジャーリーガーを目指すという思想は、いまの子どもたちは持っていると思います。そんな中、特に、以下の佐々木麟太郎と佐藤幻瑛が選択した2つのアメリカ大学が絡む挑戦ルートは、今後増加すると思われます。
- 高校→アメリカ大学 代表選手:佐々木麟太郎(スタンフォード大学)
- 大学→アメリカ大学編入 代表選手:佐藤幻瑛(ペンシルベニア州立大学)
佐々木麟太郎と佐藤幻瑛の選んだ道において、それぞれがメジャーリーガーとなり成功することを期待しています。
そして、MLBの舞台で活躍する選手が現在よりも、どんどん増えることを期待しています。
以上です。
ありがとうございました。











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